RICCについて
5年前の2004年に導入した前システム(RSCC)は、様々な研究分野・利用形態に対応するため、計算資源として大規模PCクラスタ、ベクトル計算機、分子動力学専用計算機の3種類を採用し、GRID技術などにより1つのシステムとして利用可能にした複合型計算機でした。今回運用を開始した新スーパーコンピュータ・システムは前システムを発展させ、演算性能の高速化のみならず、利便性の向上を目指し設計しました。
新スーパーコンピュータ・システムの名称はRICC(RIKEN Integrated Cluster of Clusters)としました。RICCは、その名前が示すようにそれぞれ特長を持った複数のPCクラスタを高速なネットワークで接続しています。
最も大規模な構成となる超並列PCクラスタでは数千並列のジョブを実行することも可能です。新しい取り組みとして多目的PCクラスタにはGPUアクセラレータを搭載しました。GPUアクセラレータを利用するためには専用のプログラムの作成(既存プログラムの変更)が必要です。情報基盤センターでは容易にGPUアクセラレータを利用するためのプログラミング環境も開発予定です。理化学研究所で開発された分子動力学専用計算機MDGRAPE-3を接続したクラスタでは、MDGRAPE-3を利用するアプリケーション・ソフトウェア(Amber)を提供しています。また大きなメモリを必要とするプログラム実行のために、共有メモリ型の大容量メモリ計算機を提供します。
RICCではRSCCで利用していたジョブスケジューラを機能強化し、フェアシェア機能(利用者(課題)ごとに割り振られたランクや過去のジョブ実行履歴を参照することで、公平なジョブ・スケジューリング機能)や、バックフィル機能(空いている資源を有効に利用するために、待機ジョブの順序を入れ替える機能)で全体の待機時間の軽減をはかると同時に大規模並列ジョブの実行を考慮した運用を可能としています。
また、ユーザの計算機利用の利便性を高めるために、従来のWebページからのジョブ操作に加え、携帯電話からのジョブ監視のサービスも提供します。
システムのコンセプト
RICC の使命
理研の使命である「科学技術の基礎基盤から産業応用に至る幅広い研究」に適したシステムであること
物理学、化学、工学、生物学、医科学といった理研が取り組む研究分野の研究者からのニーズに応えていくこと
RICC の目標
実験データ処理や実験研究者のサポート強化
次世代スーパーコンピュータに向けたアプリケーション開発環境
新しい計算技術への挑戦
利用・運用の特長
- 研究活動の中で利用者がスーパーコンピュータをあらゆる場面で利用できるようWebポータルや携帯電話インターフェイスを提供
- 計算目的に応じたさまざまなクライアントを通じてRICCを利用できるようWebサービスを提供
- 独自の高機能スケジューラにより数千並列規模の大規模並列ジョブが常時投入可能に。これにより次世代スーパーコンピュータ向けのアプリケーション・プログラム開発に貢献
- アクセラレータの利用促進のためアクセラレータを活用できるアプリケーション・プログラムの用意やGUIを用いたプログラム開発環境を整備
スペック(前システムとの比較)
| 前システム | 倍率 | 本システム | |
| 理論性能 (CPU) | 12.4TFLOPS | 8.5 | 107.0TFLOPS |
| 総メモリ容量 共有メモリ容量 |
3.0TB 256GB |
5.3 2.0 |
15.98TB 512GB |
| メモリバンド幅 (Xeon) | 0.22Byte/FLOP | 2.5 | 0.54Byte/FLOP |
| 総ディスク容量 スループット帯域 |
20.0TB 2.0GB/s |
27.5 8.0 |
550TB 16.0GB/s |
| 総ローカルディスク容量 スループット帯域 |
143.0TB 320.0*1024MB/s |
4.3 2.8 |
622.5TB 300.0*3*1024MB/s |
| 総テープ容量 スループット帯域 |
200.0TB 120MB/s |
20.0 12.0 |
4PB 1.44GB/s |
| 外部ネットワーク帯域 | 200MB/s | 10.0 | 2GB/s |
